第11章 職場体験
――ズバァッ!!
突如、風が裂けるような音が鳴った。
轟「なっ…!?」
視界の端に、“閃光”が走った。
「人の信念を、否定するな」
その声は、怒りに震えていた。
次の瞬間、ステインの背後に――がいた。
ス「なっ…」
バゴォッ!!!
乾いた音が、空気を裂く。
ステインの体が、拳の一撃で地面に叩きつけられた。
ス「ぐっ……!」
砂煙の向こうから歩み出たその影に、轟も、デクも、息をのんだ。
緑「……繋原さん……?」
デクの瞳が、大きく見開かれる。
飯「なぜ……!?」
飯田は震える手で床を掴み、目の前の彼女をただ見つめるしかなかった。
緑「繋原さん、気を付けて!そいつに血を経口摂取されると動けなくなる!」
は小さく頷いた。
ス「お前は?」
ステインが立ち上がる。顔を押さえながら、警戒心を露わにする。
はゆっくりと構えをとる。その瞳には、まっすぐな怒りと、焦がすような激情が灯っていた。
「さぁ…。自分でもまだ分からない。まだ…何者にも、なれてない。」
ステインは黙っての方を見た。
「私はあなたが信念を持ってることを否定しない。でも……」
デクも、轟も、そして飯田も、から目を離せなかった。
「“人の想い”を、“願い”を、“戦う理由”を、誰にも踏みにじる権利なんかない」
ス「っ……!」
ステインの目が細まる。
デクはその場で唇を震わせた。
緑「繋原さん……」
飯田は声が出なかった。
ただ、その一言一言が、胸の奥に深く刺さっていく。
轟も、戦意を切らさず構えを崩さずにいたが、彼女の背を見つめながら、小さく呟いた。
轟「……怒ってるんだな」
ステインがゆっくりと立ち上がる。口の端から血が垂れている。
ス「……お前も、“理想”を掲げているのか?」
そしてが、ぎゅっと拳を握りしめた。
「違う。私はただ、信念を否定された痛みを知ってるだけ。だから…飯田くんを、否定するな」
その目には、かつて何度も否定され、傷つけられ、それでも“生きたい”ともがいた少女の、まっすぐな意志が宿っていた。