第11章 職場体験
は、送られてきた位置情報を握りしめるようにスマホを手にして、夜の街を駆けていた。
だが――
(……ここのはず、なのに)
入り組んだ路地は、まるで迷路のように枝分かれしていた。
行き止まり、暗い横道、同じような建物。
何度も確認するたび、画面のピンは確かに“この辺り”を示しているのに、
目当ての通りには辿り着かない。
焦りが、喉元にせり上がる。
(……どこ……どこなの……)
そんなときだった。
警察「通行止めだ、引き返せ!」
通りの先で、警察官が何人かでバリケードを張っていた。
脳無の影響か、通り一帯が封鎖されていたのだ。
「……っ」
歯を食いしばり、は反対側の路地へと走る。
心臓が痛いほど打ち、足は痺れるほど動かしているのに、
目指す場所はまだ、先だった。
(間に合え……間に合って……)
願うように、必死で足を動かす。
そして――
曲がり角を抜けた、そのとき。
視界の端に、背中が見えた。
(あれは……)
血の匂い。
異様な殺気。
街の喧騒とは違う、重く沈んだ空気。
「……ハァ……ハァ……いた……」
思わず、そう小さく呟いた。
デクと飯田は既に地面にへばりつき、轟も苦戦しているようだった。
ス「信念もなく……自己満足でヒーローを名乗る者どもが、正義を汚す」
はその言葉を聞いた瞬間、自分の中で何かがプツリと切れた。
気づけば体は勝手に動いていた。