第11章 職場体験
夜の路地裏。
のスマホが、突然震えた。
――ピコン。
画面に浮かんだのは、緑谷出久からの“位置情報一斉送信”。
「……え」
画面のピンは、まさに保須市内。
そしてそこにメッセージはなかった。
これが何よりも緊急事態であることを示していた。
「……!」
思わず、心臓が跳ねた。
何かが起きている。
これは、ただ事ではない。
はそのまま駆け出そうとした。
だが――
エ「……待て」
鋭く低い声。
次の瞬間、の腕をエッジショットが掴んでいた。
「っ……」
エ「行かせるわけにはいかん」
「……なんで、ですか……っ」
エ「ヒーロー候補生は、監視下以外で個性を使用することを禁じられている。それは、例外のない規則だ」
冷静な口調。だが、そこに微かな鋭さがあった。
「でも……!今行かなかったら、私はきっと後悔する!」
エッジショットが、わずかに目を細めた。
「もう、自分の人生を悔いたくないんです……!」
言い切ったその瞬間――
――ズズ…ン
不意に、路地裏の奥から、重い地響きのような音が響いた。
「……っ!」
エ「……っ、来たか」
視線を向けた先には、
黒い影――異形の存在――脳無が、路地の奥から這い出してきていた。
エ「……まずいな」
エッジショットは一瞬、を見た。
エ「……こっちは俺が抑える。勝手は許さん……が、行くなら、命は絶対に落とすな」
その言葉に、は一瞬、息を呑んだ。
「……はい」
強く、短く、そう返して。
は、駆け出した。
背後で、エッジショットが静かに囁いた。
エ「……行け」
――夜の街へ、の決意が走り出した。