第11章 職場体験
翌朝――。
エッジショットの事務所。
昨日よりも少しだけ肩の力が抜けたは、エッジショットの動きを見ながら、淡々とした訓練に集中していた。
床に描かれた簡易的なラインの上。
エッジショットが静かに言う。
エ「……間合いは、動きながら測れ」
「はい」
エッジショットが、一歩、二歩と歩を進める。
もその動きに合わせ、気配を探る。
ふっと動きが止まる。
エ「昨日よりは悪くない」
短く評価され、は思わず小さく息を吐いた。
エ「だが、まだ気配に“引っ張られ”てる。相手に合わせるだけじゃなく、先を読む癖をつけろ」
「……はい」
そう答えながら、は自分でも分かっていた。
“昨日よりは良い”――その言葉が、こんなに嬉しいとは思わなかった。
その時、エッジショットがふと時計に目をやる。
エ「……午後は、巡回に出る。合同で動くことがあるからな。付き合え」
「……わかりました」
エッジショットは特に説明もなく、そっけなく言った。
も深くは聞かず、素直に頷いた。
パトロールは、彼にとって“日常”。
その一部に自分が加わるだけ――
そう思っていた。
このときまでは。