第11章 職場体験
その問いは、意外なほどあっさりしていた。
「……え」
箸を持つ手が止まる。
「……尊敬してます」
言葉を選びながら、ゆっくり答える。
「……厳しいけど、いつもちゃんと、私のことを見てくれてる人です。…信頼できる人……です」
エッジショットはしばらく何も言わずに、それを聞いていた。
そして、蕎麦をひと口すすったあと、ぽつりと呟いた。
エ「……あいつは不器用だが、まっすぐな男だ」
は、目を向ける。
エ「無駄なことは言わない。だが、言葉にしたことは必ず貫く。……信用に足る、そういう男だ」
「……はい」
その言葉が、静かに胸に染み込んでいく。
エ「……そういう奴が、お前を“俺に任せた”」
銀色の瞳が、真正面からを見つめた。
エ「……なら、俺は“結果”で応える」
は、驚きと共に、じんわりと胸が熱くなるのを感じた。
「……ありがとうございます」
エッジショットは、ふっと口角を上げた。
エ「……別に礼を言うほどのことじゃない」
それは、初めて見る“ほんの僅かな微笑”だった。
――そして、ふたりの間に、どこか柔らかな空気が流れた。
それは、信頼の始まりだった。
近くのホテルへ帰る途中、はスマホを手に取った。
画面には、相澤の登録名。
『無事、初日終わりました。』
『エッジショットさん、すごく信頼できる人でした。』
『……それと、私、少しだけ自信が持てました。』
メッセージを打ち終え、送信。
画面に“既読”がつくまで、少しだけ時間がかかった。
そして――短い返事が届いた。
相澤
『……そうか。なら、よし。』
は思わず微笑んで、スマホをポケットにしまった。
今日一日が、少しだけ特別なものに感じられた気がした。
――そして、まだ見ぬ明日へ。