第4章 個性把握テスト
春の柔らかな陽が差し込むグラウンド。1年A組の生徒たちが整列する中、相澤は無精ひげのある顎を手のひらで支えていた。
相「入学式の余韻に浸ってる暇はない。今日からお前らには、現実を叩き込む」
その声に、生徒たちはざわめく。
相「さっきも言ったがこれから個性把握テストを行う。お前たちも中学の頃からやってるだろ?個性使用禁止の体力テスト」
そう言って相澤はスマホの画面を見せた。
そこには個性把握テストの内容が書いてあった。
上からボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈とあった。
相「国はいまだ画一的な記録を取って平均を作り続けている。合理的じゃない。まぁ文部科学省の怠慢だな。実技入試成績のトップは爆豪だったな」
爆「おっ」
相「中学の時、ソフトボール投げ、何メートルだった?」
爆「…67メートル」
相「じゃあ個性を使ってやってみろ」
こうして爆豪はボール投げをする円の中心に立たされた。
相「円から出なきゃ何してもいい。はいよ。思い切りな」
爆「んじゃ、まぁ」
爆豪は個性を使い、思い切りボールを投げた。
爆「死ね〜!!」
緑「死ね…?」
「…」
ボールは見えないほど遠くへと飛んでいった。
相「まず自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」
そう言って相澤が見せたタブレットの画面には、爆豪の記録、705.2mと記載されていた。
A組「おぉ!」
上「705メートルってマジかよ」
芦「何これ?面白そう!」
瀬「個性思いっきり使えんだ!さすがヒーロー科!」
「そんな単純かな…?」
麗「え…?」
の呟きにお茶子が振り返った。
相「面白そう…か」
緑「あっ…」
相「ヒーローになるための3年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」
「やっぱり…」
相「よし、8種目トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分としよう」
A組「はぁぁぁ!?」
「除籍処分…」
(相澤先生の言ってることが本当か嘘かは分からない。でももし本当だったとしたら、ここで頑張らないと、私の居場所はなくなる…ちゃんと、やらなきゃ)