第11章 職場体験
午後の授業も終わり、教室には燃えるような夕日が差し込んでいた。
ほとんどの生徒が帰った静かな教室に、と相澤だけが残っている。
長く伸びた2人の影が黒板にかかっている。
相「……さて」
黒板の前で腕を組んでいた相澤が、ふと口を開いた。
相「お前、最近……飯田から何か聞いてないか」
「飯田くん、ですか?」
相「そうだ。……なにか様子が違うとか、変わったこととか」
は首を傾げた。
「んー…飯田くんはいつも通りに振る舞おうとしてるように見えます……。」
相「その言い方、なんか引っかかるな。何か思うところがあるのか」
「…分からないです…確証はないですけど…私には、どこか思い詰めてるような、そんな感じがします。どうしてですか?」
相「……あいつ、お前と緑谷、麗日とよく一緒にいるようだからな。何か話してるんじゃないかと思って聞いた」
「……いえ、話されたことはほんとに何も。でも、飯田くんに何か……?」
相澤は短く息をつき、いつもの眠たげな目で、真っ直ぐにを見た。
相「……飯田の兄――ヒーロー、インゲニウムが襲われた。加害者は“ヒーロー殺し”と呼ばれてるステイン。……その事件が起きたのが、保須市だ」
「……」
は黙って相澤の話を聞いた。
相「……飯田は、その保須にある事務所を職場体験先に選んでる。」
「えっ……」
相「恐らく……兄の仇に、自分で何かしようと考えてるんだろう」
「そ、そんな……!」
思わず声が震えた。
相「……まあ、これもまだ確証はない。ただ、あいつの様子がいつもと違うのは確かだ」
は不安そうに目を伏せた。
「……それが現実にならなければいいですけど……」