第11章 職場体験
は振り返って言った。
「先生、私、行きたい事務所…はないけど…この人の元につきたいって人ならいるよ」
相「…誰だ」
相澤は分かっていた。
この時がなんと言うかなどーー
そして、本当は言わせるべきではなかったと言うことも。
「…先生だよ。先生の側で、私は職場体験したい」
相「…」
「先生は私のNo.1ヒーロー。私は教師としての"相澤消太"からじゃなくて、ヒーローの"イレイザー・ヘッド"から学びたい。」
相「あっ…!」
相澤は目を丸くした。
「相澤先生には、もうたくさん教わったから。次はヒーローから学びたい」
は震える手を握った。
相(…お前の口から俺の名前が出るのを聞きたいなんて一瞬でも思った俺がバカだった。名前まで覚えてるなんてな…)
相「…全く。お前は本当に手が掛かる生徒だよ」
相澤はの頭に手を置きたい気持ちを抑えた。
相「そう言ってくれるのはありがたいが、生憎俺の職業はもう教師だ。それを叶えてやることはできん」
は肩を落とし、まるで泣き出しそうな顔になった。
相「今日の放課後は補習だ。帰るなよ」
それはと2人の時間を作るということだった。
相澤はそれだけ言うと授業の準備をしにコピー機の方へと行った。
察したは少し元気を取り戻し、職員室を出て行った。
(なんだかんだ、先生は優しいな…)
相澤が席へ戻ると、マイクが話しかけて来た。
マ「俺も生徒にあんなこと言われてみたいもんだねぇ!」
相「そうかよ」
マ「もちろんさ!それにしても冷たいねぇ、出来ないわけじゃないだろう?」
相「…俺としか関われないようでは困るだろう。いつまでも一緒にいてやれるわけじゃないからな」
マ「いつまでも一緒にいてやりゃあいいじゃねぇか」
相澤は怪訝な顔でマイクを見た。
マ「それは生徒と教師の関係だったら、だろ?そうじゃねぇなら別に構わねぇじゃねえのよ」
相「はぁ…俺はお前のそういう楽観的思考が羨ましいよ」
マ「超合理的だと思うけどね!」
呆れていた相澤だったが、のちにこのマイクの言葉に少しばかりの影響を受けることは、まだ知らなかった。