第9章 雄英体育祭
「……先生」
はふっと真剣な顔になる。
「一つ、相談してもいいですか」
相「……あぁ」
「あの、私……」
一拍おいて、ものすごく真剣な声で言った。
「実は……勉強が、全然できなくて…」
相「……」
「やばいくらいできなくて、今まで言えなかったんですけど、ほんとに、やばいんです」
相(こいつがそんな語彙しか出てこないってことは、相当だな…)
「私……このままじゃ卒業どころか、進級も怪しくて……」
相「……っ」
ふっと、相澤が肩を震わせた。
相「……馬鹿か」
そう言いながら、わずかに口元が緩んだ。
相「そんなことで怖がるな。……バカなら、勉強すりゃいいだけだ」
は、きょとんとしたあと、思わず吹き出した。
「……ですよね」
2人の間に、初めてほぐれた空気が流れた。
相「明日から補習だな」
そう言って、相澤は淡々と歩き出した。
「……はい」
──もう独りじゃない。本気で怒って、心配して、喜んでくれる仲間が…そして何より、ずっと側で自分の声に耳を傾けてくれる大人がいる。
その事実が何よりも、の心を温かくした。
しかし、着々と不穏な空気は近づいていた。