第9章 雄英体育祭
少し行くとは、はぁ、とため息をついて手を離した。
「ごめん轟くん、思わず言っちゃって…もしこれでまた轟くんとお父さんの関係が悪化したら…」
轟「…別にいい。これ以上なんてないくらい、もう悪いからな」
「そっか…。ところで何しに轟くんはここに?」
轟「…謝りに来た。個人戦の前に言ったこと、悪かった。俺よりもお前の方がよっぽど…」
はフッと笑って首を振った。
「痛みは比べるものじゃないよ。私もつらかったけど、轟くんもつらかった。でしょ?」
轟は顔を上げた。
「あの会話があって、緑谷くんとの戦いで轟くんが全力出せるようになったなら、それでよかった」
轟「お前は…強いな」
轟はポツリとつぶやいた。
「え?なんか言った?」
轟「いや、なんでもない。それよりお前もどうしてあそこにいた」
「あぁ、みんなにお疲れ様くらい言っとかないとと思って」
轟「それならまた今度でいい。今行ったら爆豪がキレ散らかしててみんな大変だから」
「あぁ…なるほどね…じゃあお言葉に甘えてやめとこうかな…」
は苦笑いした。
轟「気をつけて帰れよ。じゃあな」
「うん、轟くんも。それじゃあまた」
は帰り支度をしに保健室に戻った。
轟「…」
轟は黙ってその背中を見送った。
ざわめく気持ちを抑えながら。