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例外のヒーロー【ヒロアカ】

第3章 遅れてきた春


やがて、相澤が教室に入ってくる。

相「席についているな。出席を取る」

淡々とした声で、名簿が読み上げられていく。

相「緑谷」

緑「はいっ」

相「麗日」

麗「はい!」

相「飯田」

飯「はい!」

相「……繋原」

一瞬、空気が止まった。

繋原はゆっくりと顔を上げ、ためらいがちに口を開いた。

「……います」

その声は小さかったが、教室の誰もが、はっきりと耳にした。

その瞬間、ただ“噂”だった存在が、“現実”としてその場に根を下ろした。

誰も、何も言わなかった。

けれど、いくつもの視線が、彼女の背中に突き刺さる。


爆豪はつまらなそうに鼻を鳴らした。

爆(なんだ、お高くとまってんな)


お茶子は眉をひそめ、ちらりと繋原を見る。

麗(あの手袋……ずっとつけてるの、なんでだろ)


飯田は眼鏡を直しながら、名簿と照らし合わせるように視線を落とした。

飯(公式の入試成績に名前がなかった……つまり、やはり例外的に……)


轟はただ静かに彼女を一瞥し、目を伏せた。

轟(……)


そしてデクは、隣の席から彼女をちらと見て、息を潜めた。

緑(……繋原さん…って言うのか……)


彼女は、視線を感じながらも、表情を変えることなく、ただ窓の外を見つめていた。

そこには、春の光が差し込んでいた。

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