第6章 首輪
「……ここ…お客様の……。」
「いいから来い。」
とりあえず奴を家に連れてきた。
仕事を抜け出してから
かれこれ数時間経っている。
今日の仕事はまだ終わらせてない。
やらなきゃいけないこともある。
「部屋からは絶対出るなよ。」
少年を連れていつも抱いてる部屋に入る。
ここならコイツも慣れてるだろうし、
…それに、何も出来ないはずだ。
部屋にはベッドと玩具しかない。
閉じ込めておいても盗むものはない部屋。
少年を信じていない訳では無い。
…保険だ。
「………ぅ…でも…。」
「さっきもらった痛み止め飲んで、
横になっとけ。」
ベッドに無理矢理押し付けると、
少年は諦めたように横になった。
棚に水と、薬を並べておく。
あとはまあ…いいか。
飯は帰ってから食わせよう。
「分かったか?」
「………はい。」
「大人しくしてろよ。」
「…。はい。」
少年が頷いたのを見て、部屋を出て、
外から鍵を閉めた。
これで出られないはずだ。
ドアを乱暴に蹴れば鍵を壊して
出られるかもしれないが、
手負いのやつの体じゃ無理だ。
「…………ふん。」
部屋から離れて、
鍵を指でくるくると回す。
やりたいことは決まった。
あとは準備してやるだけだ。
スマホを開いて、女に連絡する。
『用事が出来た。今日は会えない。』
これでいい。
部屋には、先客がいる。