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キバナさん 男娼を買う

第3章 理由






 「調べました。彼に間違いないでしょう。」

 数週間後、
 オリーヴから連絡が来て
 秘書室に向かうと、1枚の紙を渡された。

「なんだよ…これ。」

「マクロコスモスの
 消費者金融の登録データです。
 電話番号と名前が一致しました。」

「20歳で登録されてるじゃねえか。」

「違うんですか?」

「絶対違う…。」



 知らなかった。
 

 奴は借金を抱えていたらしい。
 確かに電話番号も名前も彼だ。
 住所は…スパイクタウン…?


「かなり裏道にあるみたいですね。
 私も行ったことありませんが、
 その…治安が悪いところのようです。」


「へぇ…」


「借金をしていると言っても、
 実際に借金をしているのは彼ではなく
 父親のようです。

 全部合わせると、600万くらいでしょうか。」
 

「結構あるな。」


「決まった日に少しずつ返済してるようです。

 これでも最初は800万スタートだったので、
 かなりしのぎを削って返済していますね。
 先月から、返済されてないみたいですが。」

「ふん。」


 先月…オレが
 最後に相手した日から、か?

 関係ない話だ。

「で、こんな借金まみれの男を
 なぜ調べたかったんですか?」


「別に関係ないだろ。」

「調べさせておいて関係ないですって?」

「うるせえ。これもらってくぜ。」

 「――ちょっと!
 それは、顧客の個人情報です!
  持ち出し禁止ですよ!!」

「分かった分かった。預かるだけだって。」

 オリーヴの罵声が響く中、
 資料を奪って秘書室を出る。

 実はこの男は男娼で、
 オレさまが買ってる男だ…なんて言えるか。


 『キバナさん!
 必ず返してもらいますからね!!』


 「あぶね…。」


 社内放送で鬼みたいにキレたオリーヴが叫ぶ中、
 マクロコスモスを出る。


 よっぽど怒ってんな。
 そのうちバレるかもしれない。


 「…………、」


 その瞬間、スマホがぶるぶると震える。
 画面を見てにやりと笑みが浮かんだ。
 ナイスタイミングだ。


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