第9章 リード
「腕が…動きます!」
「良かったな。」
やっとギプスが外れて、
僕は本当に自由になった。
背中の傷も、もうほとんど見えなくなって、
僕が男娼していた証拠が
少しずつ薄れていく。
ここに来て数ヶ月経ってしまった。早いものだ。
「指も動きます。
これで御奉仕できます。」
「どんだけ奉仕したいんだよ。」
キバナさまが呆れている。
もっとキバナさまに捧げたいだけなのに。
普段の恩を返したいだけなのに。
男娼してた頃の料金で計算しても、
僕の生活費の10%くらいしか
キバナさまに御奉仕できてない。
もっと、もっと売らなきゃ…もっと…。
「治った腕で、精一杯したいだけです。」
指も手も、自由に動かせる。
パタパタと手を振っていると、
キバナさまがふわふわと頭を撫でた。
「バカ。下の口にしてもらってるからいい。」
「…そうでした。」
その言葉に口に浮かぶ笑みを抑える。
あれから何度もキバナさまに抱かれた。
キバナさまとの行為は激しくて、
毎回おかしくなるくらい気持ちよくされてしまう。
僕がキバナさまを口淫で満たしていたのに、
いつの間にか逆転してしまっていた。
「今日は女が来る。
大人しくしとけよ。」
「はい。」
でも、キバナさまは
女遊びをやめた訳じゃない。
それでも、ここに来た時よりは回数は格段に減った。
2、3日に1回しか呼ばない。
それ以外の日は、1日ヤらなかったり、
僕を抱いたりしている。
ここに住み始めてすぐの時は
毎日誰かとヤっていたのに、
驚きだ…。