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ラストラインを越えて

第12章 夏合宿


「マンハッタンカフェなら向こうの木陰で休んでいますよ」
「ああ、ありがとう。けど……そうだねぇ、別にカフェである必要もないのだよ」
アグネスタキオンはちらりと、神座の管轄のウマ娘に目を向ける。
「ふむ……。この薬、身体能力の向上と筋肉の増強と……その他諸々が見込めるのだけど、どうかな?君のウマ娘に試してみないかい?」
瓶の中の液体を見せながら神座に提案する。
「治験ですか。お断りします」
「はぁ~~、即答とはね。つれないねぇ?」
「……僕の方針は薬力学ではなく地道な鍛練ですので」
アグネスタキオンのトレーナーが日常的に妙な目に遭っているのも把握している。
手を出すべきではないと判断し、神座は視線をホマレの方に戻した。
「ちぇっ、やはりカフェにするか……」
取り合ってもらえないと分かるやアグネスタキオンは標的を変え、マンハッタンカフェの元に向かっていった。
『トレーナー!これどこまで引けばいいのー?』
少し遠くまでタイヤを引っ張ったホマレが声を張り神座に呼び掛ける。
「あと50メートル行ったら戻ってきなさい。そしたら休憩にします」
『はーい!』
また前に向き直りズリズリとタイヤを引いて進み出したホマレを見ながら、神座は誰に見せるでもなく小さく頷いた。









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