すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第11章 話す覚悟
「あの、住吉さん…」
「ん?」
ソファに座る住吉の前に立つと『横、座ってもいいですか?』と凜桜は小さく問いかける。
「…どうぞ?」
「…あの、さっきはすみませんでした…」
「大丈夫。俺は、な?」
「……ッッ」
ビールをそっと唇に近づける。そんな所作一つでもドキドキとする凜桜。
「何か飲むか?」
「いえ、大丈夫です。あの、それから…」
「ん?」
「少しだけ話してもいいですか?」
「ん」
そう答えれば缶をテーブルに置き、背もたれに体を預ける住吉。それを見て小さく俯きながらも凜桜は話し出した。
「…あの人、圭介は…その、元カレなのはこの間話したと思うんですけど。その時に初めて付き合った人だったんです。それまで誰とも付き合ったことなくて、もっと言うと今までに付き合った人はあの人だけっていうか…」
ぽつぽつと話していく凜桜の声にしっかりと耳を傾けた住吉はただ黙って聞いていた。
「…付き合ってるときにはすごく好きだったんです。一か月とか二か月とか…すごく優しくて…でもいつからだったか…その、体をすごく求める様になってきて…本当に思ってくれてるんだって思っちゃったんです。やってみたい、試してみたい…そういうのもほとんど受け入れてきたんです。そうしたらいつの間にか都合のいい女になってて」
聞かせたくない…でも、なんであぁ言う事になったのかをしっかりと話さないといけない気がした。
「断ればさっきみたいに首絞められるなんてのはよくあったんです。『苦しいよな?どうしたら苦しくないで済むんだ?』なんて…身の危険を感じた時には少し遅かったらしくて…ハハ…バカみたいですよね。」
「笑い事じゃないだろ…」
ようやく発された住吉の言葉はいつも以上に低く聞こえた。