第7章 沈黙の証言
優人の手が、そっとの頬に触れる。
その指先は驚くほどやわらかくて、温かかった。
そして――
優「……、怖くないよ」
彼の顔が、すぐ目の前に迫る。
呼吸が触れ合いそうな距離で、その瞳は一切の揺らぎを見せない。
優「大丈夫……君のこと、誰よりも知ってるし。誰よりも、大事にしてる」
囁きながら、唇がそっと触れる。
優しく、優しく、時間をかけるように重ねられる口づけ。
何度も、少しずつ深くなっていくそのキスに、の意識はゆっくりと、曖昧に溶けていった。
抗おうとした意志も、頭の奥でぐるぐると回る言葉も、ひとつひとつ、淡くなっていく。
優「……覚えてる?、ひとりじゃ寝れなかったじゃん。泣いて、怖い夢見て、震えてた。……俺がずっと、そばにいたでしょ?」
キスの合間に、甘い記憶のような声が挟まれる。
過去を引き寄せるように、優しく微笑むその顔に、涙が零れる。
優「もう、がんばらなくていいよ。強がらなくていい。君はただ、俺の腕の中にいればいいんだよ……ね?」
やわらかい声音で、崩れるように抱きしめられる。
胸元に引き寄せられ、その体温に包まれて、心がじんわりと鈍くなっていく。
優「愛してるよ。ずっと、変わらず……誰よりも、何よりも。君が全部なくしても、俺だけは、絶対に君を離さないから」
耳元でそう囁きながら、彼の手はそっとの髪を撫で、背に触れ、そのまま、ゆっくりと――抗えない深みへと、連れていく。
この瞬間だけは、何も考えなくていい。
この腕の中にいればいい。
そう囁かれるたび、の心は、ますます静かに沈んでいく。
“優しさ”という名の、柔らかい檻の中へ――。