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隣のトキヤくん

第12章 隣のトキヤくん⑫







「「「かんぱ~い!!」」」





みんなで仲良く肉焼き会。
焼肉じゃないよ、肉焼きね。


結局、勝敗の仕方が決まってない見切り発車だったため、楽しかったからまぁいいか、のノリで水掛け論争ならぬ、水かけ戦争はゆる~く終わった。

タオルである程度水気をとって、後は夏の自然乾燥に任せる。肉を焼く部長と、野菜も食べなさいと取り分ける彼らは、やはりダブルオカンで笑ってしまった。


「どう?食べれてる?」
「あ、副部長!はい、頂いてます!」
「ふふっ、ほんとに良い食べっぷりだね。足りなかったら言ってね」


そう言って、野菜とお肉がバランス良くのった新しいお皿と、ペットボトルのお水を配って行った。よくみれば、さり気なく周りを見て回って、ゴミは拾って、無くなる前に補充をしている。
うーん、真のオカンは副部長だなぁ。


そんなことを考えていたら、誰か近寄ってきた。


確か彼女は、女子会トークで彼氏ほしー!と叫んでいたお元気さん。
ちなみにネームプレートも元気ちゃん、となっている。


「いやー、私も良く食べる方なんだけど、にーちゃんには負けるなぁ」
「そうかな?私なんて全然だよー」
「これ、さっき副部長から貰ったお皿なんだけど、いる?」
「あ、要らないなら貰います」


そういって、自分の持っていたお皿のお肉を平らげて、元気ちゃんからお皿を受け取る。いやぁ、餌付けしたくなる気持ちわかるなぁ、なんて聞こえてくる。
サークルで食いしん坊キャラが定着しそうだが、まぁ美味しいものが集まるならそれも良いか、とモグモグしておく。


「さっきね、寿先輩にどんな人がタイプか聞いたんだけどさー」
「ふんふん」
「『好きになってくれた人がタイプ』ってはぐらかされてね」
「なるほど...」
「それでね、ついでにその隣に居た誰かさんにも聞いたんだけど」
「ほ、ほぉ....?」


「『唐揚げを美味しく食べてくれる人』だって」



ピタッと、思わず手が止まる。今私が食べているのは唐揚げではなく、焼き鳥だからセーフだ。.......何がセーフか知らないが。



「と、言う訳で、私はお腹いっぱいだから、それ食べてくれてありがと」
「え、ご、ご馳走様です...」
「こちらこそ~」



手をヒラヒラ振って去っていく彼女。
昨日の先輩と言い、みんな人をつつくのが好きだなぁと思う。
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