第15章 目を閉じても【相澤消太】
相澤「今日の訓練、
お前はよくやってた」
「.....え?」
相澤「他人の声に振り回されすぎるな。
爆豪も轟も、実力はあるが
アドバイスの仕方が不器用だ。
気にしすぎると
動きが硬くなる」
ぽんっと頭を軽く撫でられた。
ふわっとした手つき
優しすぎて、涙が出そうだった。
「......見ててくれたんですね」
相澤「教師だからな。当たり前だ」
目を逸らすようにそう言った先生は
すぐに立ち上がる。
だけど背を向ける前に
一言だけ、残した。
相澤「自分に負けそうになったら
俺に言え。俺が指導してやる」
その言葉だけで
胸の奥にあったもやもやが
すーっと消えていった。
私はその日、静かにペンを置いた。
進まなかった課題も、今なら少し、
前向きに向き合えそうだった。
〜終〜