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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第2章 「はじまりの目と、最強の教師」


「じゃ、案内は以上。疲れたでしょ。今日はゆっくり休んで――」



そう言って背中を向けた先生に、思わず声をかけていた。



「……先生、ひとつだけ……いいですか」

「ん? なに、改まって」



扉に手を掛けたまま、先生が振り返る。



「……わたし、本当に……ここにいて、いいんでしょうか」



先生はしばらく黙ってから、こちらに歩み寄ってくる。
数歩先で止まり、視線を合わせるようにしゃがみ込む。
その距離がどうしようもなくやさしくて、また苦しくなる。



「どうして、そう思うの?」

 

問いかけも、責めるような調子はなくて。
ただ、ちゃんと答えを待ってくれているのがわかった。

 

「……だって……わたしの力は、呪力じゃないって……」

「自分の力なのに、わたしにもよくわかんないんです」



一度口にしたら、もう止まらなかった。



「たまたま……あの時は、子供を助けることができたけど……」

「でも次は……誰かを傷つけちゃうかもしれない。自分でも気づかないうちに……」

 

ぎゅっと制服の裾を握りしめた。



「……自分のことなのに、自分が……こわいんです」



言い終えた瞬間、目の奥が熱くなっていく。
本当は、こんなこと言いたくなかった。
でも、ずっと飲み込んできた不安だった。


少しの沈黙を置いて、先生が口をひらいた。



「確かに、君の力は呪術界じゃ“異物”扱いだね。特にうちの上層部のジジイ連中はそういうのが嫌いでさ」

 

淡々と、でも嘘がない。
だからこそ、胸に突き刺さる。
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