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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第29章 「善意の逆理 Ⅱ**」


「……先生は?」

「僕も」



短く答えると、の口が不満そうに尖った。



「……私ばっか……」



すぐ拗ねるんだから。
最近気づいたけど、は結構わがままだ。

でも、そのわがままが。
僕に向けられていることが、どうしようもなく嬉しい。


僕は彼女の頬に触れて、額を寄せる。



「僕も、が好きだよ」

「……っ」

「好き」



もう一度、唇が触れる距離で囁く。



「大好きだよ、」



の瞳が、じわりと潤む。



「……ほんと、ですか……?」

「ここで嘘ついてどうするの」

「……もっと、言ってほしい……」



仕返しのつもり?
そう思ったのに、拒めるわけがなかった。



「好きだよ」



彼女の頬を撫でながら、何度でも言う。



「が好き」

「大好き」

「こんなに人を好きになったことない」



言ってから、自分で少し笑いそうになった。

……何これ。
僕、こんなこと言うタイプだったっけ。

でも、の目がじわじわ潤んで。
泣きそうなのに、嬉しそうに緩んでいくから。



「好きだよ、」



その顔を見るためなら。
その声を聞くためなら。

何度だって言ってもいい。


どちらからともなく、顔が近づいて。
吸い寄せられるように唇が重なる。

言葉にしきれなかった気持ちを、ひとつずつ確かめるみたいなキス。
唇を離しても、すぐにまた触れたくなる。



「「……好き」」



唇の隙間で、どちらが言ったのか分からない声が溶けた。

あまりにも綺麗に重なったものだから、がぷっと吹き出す。
それにつられて、僕も笑ってしまった。

その笑いさえ、すぐにキスの中へ溶けていく。


もう、言葉はいらなかった。

ここが高専の医務室だとか。
扉一枚向こうには、呪いだらけの現実があるとか。
そんなもの、全部どうでもよくなるくらい。

ただ、お互いの中に消えないものを残すように。
僕たちは何度も何度も、深く繋がり合った。
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