第29章 「善意の逆理 Ⅱ**」
……あー。
そう来る?
僕が予想していたのは、もっと単純で、もっとエロい言葉だったのに。
身体も心も、全部で僕に甘えてくるみたいな。
あまりにもらしい言い方すぎて。
「……反則」
僕は逃げるみたいに彼女の胸元へ顔を埋めた。
小ぶりだけど柔らかい胸に頬を押し当てる。
聞こえてくる心音が心地いい。
が戸惑ったように顔を覗き込んできた。
「せ、先生……?」
……呼ばないで。
今、顔見られたら困る。
だって、今。
自分でもわかるくらい、顔が緩んでいるから。
すると、が僕の頭をよしよしと撫で始めた。
「先生、かわいい」
「……」
「大好きです。こういう先生も、ぜんぶ」
……負けた。
完全に今のは負けた。
不意にくる「大好き」は、結構くる。
「」
「は、はい……?」
「そういうこと言うと、あとで困るのは自分だからね」
脅すみたいに言ったのに、が少し嬉しそうに笑った気配がした。
ああ、もう。
だけだよ。
こんなに、僕の情緒乱してくるの。
最強だとか。
五条悟だとか。
特級呪術師とか。
そんなもの、どうでもよくなる。
は、まだくすくす笑っていた。
その余裕が、どうしようもなく腹立たしくて。
どうしようもなく可愛い。
僕は彼女の背中に回していた腕に力を込めた。
「じゃあ、責任取ってもらおうかな」
「せ、せきにん……? 」
間の抜けた声が落ちるより早く、彼女をベッドへ押し戻した。
その時、の腕が僕の首からほどける。
その手首を掴んで、シーツの上に縫い付けた。
「僕の余裕、ここまでなくさせた責任」
「……っ、あ、あの……」
「僕がかわいい……だっけ? いいよ。今の、ちゃんと覚えておくから」
逃げ場を奪うように、さらに腰を引き寄せる。
これからすることを知らせるように。
僕のものをすでに湿ったそこに、ぐりっと強く押し当てた。
「でも、次にそれを言う余裕があるかは、知らないけど」
そう言って、僕は彼女の中を押し広げるように腰を沈めた。