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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第7章 「残るのは、君だけ」


「はね、お前らの古い、錆びついた物差しじゃ測れないんだよ」



目隠しの奥の視線が、鋭く突き刺さる。




「呪術界が、千年前異端として抹消した存在――悠蓮。それが、今またこの時代に、という器を選んで現れた。これがどう言うことかわかる?」



その声は、静かなのに刃物のような冷たさを帯びていた。


楽巌寺は片眉を上げ、訝しげに問う。



「……何が言いたい」



五条は喉の奥で短く笑った。



「フフッ、わかんないか?」



その声音は、からかうようでいて一切の温度を持たない。



「くだらない地位や伝統のために、堰き止めた力が――いま大きくなってまた押し寄せてるんだよ」



片手をポケットに突っ込み、五条は肩を揺らす。



「これからは、“呪術”や“特級”なんて物差しじゃ測れない。……牙を向くのが僕だけだと思ってんなら、痛い目見るよ、おじいちゃん」



楽巌寺の目がわずかに細くなる。
その皺の奥に、静かな警戒が宿った。



「……少し、おしゃべりが過ぎるのう」



鋭い眼差しが五条を射抜く。
だが、五条は口角を上げたまま、肩をすくめる。



「おー、怖っ。……じゃ、言いたいこと言ったし退散しよっと」



ひらりと手を振り、扉へと向かう。
背後に重い沈黙を残したまま、五条はその場を後にした。


廊下に出ると、足取りが自然と速まる。


(さて……は呪力がない。僕の六眼でも探せるかどうか)


指先で顎を軽くなぞりながら、視線を宙に泳がせる。


(どうする……)


ふと、先ほど目にしたの部屋が脳裏に浮かんだ。


(部屋に戻っていないなら……もし、僕との約束を守っていたとしたら――)


足が自然と駆け出していた。
焦燥と苛立ちが同じ速度で脈打ち、靴音をさらに鋭くしていった。
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