• テキストサイズ

【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第27章 「花の匂いは誰のもの**」


さらさらと、静かに水が流れる音がする。
目を開けると、どこまでも続く見知らぬ河原が見えた。


(……ここ、どこ……?)


風が吹き抜けて、足元の草が揺れる。
自分の手元を見下ろすと、擦り切れた古い麻の着物を着ていた。


(私じゃ、ない……)


誰かの記憶を、内側から見ているような不思議な感覚。
ふと横を見ると、すぐ隣に誰かが座っていた。


(……だれ?)


透き通るような白髪。
長いまつ毛に縁取られた、ひどく綺麗な横顔。
先生によく似ているけれど、もっと幼くて、どこか冷たい空気を纏った少年だった。
少年は退屈そうに膝を抱え、ただ流れる水面を見つめている。
その姿が、どうしようもなく寂しそうに見えた。


(……あ)


不意に、彼がこちらを向いた。
パチリと視線がぶつかる。


空を閉じ込めたような、蒼い瞳。
すべてを見透かすようなその目に射抜かれ、身体の芯が微かに震えた。


少年はこちらをじっと見つめたまま、口を開く。



「お前、花の匂いがするな……嫌いじゃないけど」



そう言って、少しだけ目を細めて、再び水面へと視線を投げた。
私のものじゃない感情が、胸の奥でふいに揺れる。
気づけばその子へ手を伸ばそうとしていた、その瞬間――










はっ、と目を覚ました。


見慣れた自室の天井。
カーテンの隙間から、朝の白い光が差し込んでいる。


(……夢)


シーツを握りしめていた手のひらに、じわりと汗が滲んでいた。
ゆっくりと身体を起こす。
/ 796ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp