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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第26章 「愛ほど歪んだ呪いはない」


僕は、一人取り残された薄暗い祠の中で、手の中の古い紙切れに視線を落とした。


かすれた墨の文字。  
そこには、千年前の残酷な結末が記されていた。


(……なるほどね)


京都の書庫でわざわざあのページを破り取り、このタイミングで僕に見せつけてきた理由。
六眼と魔導の『因果』。
冷ややかな怒りが頭の中を支配していく。


その紙から目を離し、冷たい地下の空気を一度だけ肺の奥まで吸い込んだ。


指先にわずかに呪力を込めると、青白い炎が乾いた和紙を瞬く間に包み込む。
千年前の真実はパラパラと灰になって足元へ崩れ落ちていった。  
その灰を無造作に踏み躙り、暗い石段へと足を向けた。


長い石段を登り切り、結界を抜けて地上へと出る。
ふと見上げると、雲一つない夜空に満月が浮かんでいた。


その時、不意にの声が蘇る。




夕日が差し込む、高専の廊下。



『先生っ!』



逆光の中。
小走りで駆け寄ってきたが、ふにゃっと目を細める。



『あのね、今日の任務帰りにお団子買ったんです。先生の好きなやつ。一緒に食べませんか?』



はにかむような笑顔と、僕の袖をきゅっと掴んだ小さな手。
その温度を思い出した瞬間、冷え切っていた胸の奥に熱が戻ってくる。



「くくっ。愛ほど歪んだ呪いはない、か」



呟いた言葉は、秋の夜風の中に溶けていく。


(……ずいぶん舐められたもんだよね)


自然と口角が上がるのを感じた。



「僕がを殺す運命? はっ、ウケる」



千年の因果も、星の巡りも。
諏訪烈のくだらない挑発も。
そんなもの、僕の前じゃ何の意味も持たない。




「千年の因果より、僕の方がずっとタチが悪いって教えてやるよ」



♦︎第26章 了♦︎
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