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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第26章 「愛ほど歪んだ呪いはない」


***



翌日の午後。
私は医務室のパイプ椅子に座って、膝の上でぎゅっと手を握りしめていた。


(……緊張する)


国立先端再生医療センターの主任研究員。
再生医療の分野では世界的にも注目されていて、しかもまだ三十代の若さで次期ノーベル賞候補とまで言われている人。
そんなすごい人が、今からここに来るなんて。



「、そんなにガチガチになるなよ」



白衣姿の硝子さんが、コーヒーを片手に笑う。



「だって……すごい人なんですよね?」

「まぁ、世間的にはな。でも中身はただの研究オタクだよ」



そう言われても、と思ったその時――

コンコン、と。
控えめなノックの音が、医務室の扉から聞こえた。



「どうぞ」



硝子さんが声をかけると、静かに扉が開いて、長身の男の人が入ってきた。


(あ……)


思わず、視線が釘付けになる。


テレビで見た通りの、整った顔立ち。
細いフレームの眼鏡をかけていて、少し長めの髪は後ろで低く一つに結ばれている。
ぱりっとしたスーツを着こなしているのに、威圧感みたいなものはまるでない。


先生みたいな、目を引く圧倒的な派手さとか。
傲慢なくらいの自信とか。
そういうのとは、まるで違う。
穏やかな湖面みたいな、別の種類の人だった。



「久しぶりですね、須和先輩」



硝子さんが片手を上げて挨拶する。



「家入……相変わらず、煙草臭いなここは」



須和さんは、困ったように笑いながら室内を見渡した。
その声はすごく柔らかで。
テレビの講演で「死は欠陥だ」と語っていたときの、あの熱を帯びた声とは全然違っていた。


須和さんの視線が、ふいに私に向いた。



「君が、さんかな?」

「あ、は、はい……!」



慌てて立ち上がって、深く頭を下げる。



「、です。よろしくおねがいします……っ」


(噛みそうになった……)


須和さんは少しだけ目を細めて、ふっと微笑んだ。
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