• テキストサイズ

【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第7章 「残るのは、君だけ」


五条はしばし老人を見据え、低く吐き捨てる。



「――で?」

「処遇を決めねばならん。呪術以外の力を持つ異端を高専に置いておくなど、本来なら有り得んことだ」



その言葉に、夜蛾が組んだ腕をほどき、静かに口を開いた。



「……楽巌寺学長。力の中身も分からぬまま処罰を下すのは早計です。
まずは見極めてから――結論を急ぐ理由はない」

「甘いな、夜蛾」



眉ひとつ動かさず、老人は切り捨てる。



「放置すれば、いずれ呪術界全体の禍根となる」



その瞬間、五条が小さく鼻で笑った。
背もたれに片肘を預けたまま、足を組み直す。



「じゃあ、直々に言っときますけど――」



唇の端を上げ、目隠し越しに冷光を宿す。



「手を出すなら、僕が側に立つことをお忘れなく」



楽巌寺は五条を凝視し、じり、と杖先が床を擦る音が響く。



「……五条。お前は、何も知らんのだな」



五条は、何のことかとでも言いたげに僅かに首を傾げる。
その反応に、老人は薄く笑った。



「いずれ――嫌でも知ることになる」



静かながらも重い響き。
そしてゆっくりと椅子から立ち上がる。



「――査問は行う。そこで決める。覚悟しておけ」



杖の音を響かせながら、楽巌寺は扉の向こうへと姿を消した。


夜蛾が低く呟く。



「……煽りすぎだ」



五条は肩をすくめ、細く息を吐いた。



「煽ってきたのは、あっちですよ」



わずかに声を落とし、独り言のように呟いた。



ふと、エレベーターでのやり取りがよぎる。
僕のくだらない答えに、堪えきれず笑った横顔。
――なぜ今それを思い出したのか、自分でもわからない。


わずかに緩んだ胸の奥を、再び冷たい現実が締めつける。
短く息を吐き、目隠しの奥で瞼を伏せた。



「さて――どう動くかな」



部屋に残った空気は、静かに張り詰めていた。
/ 440ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp