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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第7章 「残るのは、君だけ」


応接室の扉の前で、五条は立ち止まった。
向こう側にいるのは、京都校学長にして保守派筆頭でもある――楽巌寺嘉伸。


(のこと、気づくの早すぎるだろ……)


古びた扉を、五条はためらいもなく押し開けた。
わざと勢いよく、蝶番がきしむ音を響かせながら。


中には、長椅子に腰掛けた夜蛾正道の姿もあった。
その向かいには、白髪の老人――楽巌寺嘉伸。
二人の間に漂う空気は、張り詰めた糸のように重く冷えている。


五条が一歩足を踏み入れた瞬間、二対の視線が同時にこちらを射抜いた。
空気がわずかに揺れる。



「おじいちゃん、わざわざ京都からご苦労なことで。年寄りが無理すると体に障るよ?」

「相変わらず口の減らん男だな、五条」



かすれた声が低く落ち、室内の緊張がさらに深まる。



「――さて、今日は何の用?僕、忙しいんだよね」



五条はそう言い放つと、長椅子へ歩み寄り、何の遠慮もなく腰を下ろした。
片肘を背もたれに預け、ゆったりと足を組む。


楽巌寺は長い沈黙の後、唇をわずかに動かす。



「……“悠蓮”という名に、聞き覚えはあるか?」



その一言で、部屋の空気がさらに冷たくなる。


五条はわざとらしく肩をすくめた。



「ずいぶん古風な名前だねぇ。流行ってんの? 京都で」

「とぼけるな」



老人の瞳が一瞬、鋭く光った。



「――あの娘だ。“”」



目隠しの奥で、五条の視線がわずかに細まった。
次の瞬間、その笑みがぴたりと止まる。



「千年前、呪術界に背き処刑された“異端者”の魂を宿す器。悠蓮の名を冠する者……お前も気づいているのだろう」



重苦しい沈黙が落ちた。
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