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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第23章 「可惜夜に眠る 後編Ⅰ」


まだ朝日が完全に上がりきらない時間。
合宿所の敷地を抜けて、人気のない坂道をひたすら走っていた。


靴の裏がアスファルトを蹴る音だけが、耳に響く。
汗が目に入って、視界が滲む。
でも、足を止めることはできなかった。


息が苦しい。
肺が焼けるみたいに熱い。
なのに、頭の中だけがやけに冴えていく。



『腹くくれ。……じゃねぇと、守りたいもんも守れねぇぞ』



真希さんの声が、頭の中で繰り返される。


(守りたいもの)


――わかってる。
いつまでも逃げてるわけには、いかない。



『誰かを守れるような、そんな……』

『先生と同じ、“呪術師”でありたい』



……ほんと、何言ってんだろ、私。
守るどころか、大切な人たちを傷つけて。
差し出された手からも逃げて。
自分の傷だけ抱えて、世界に背を向けて。
それで、先生と同じだなんて……



『呪術師をやめてもらう』



私を完全に突き放した、先生の蒼い目が瞼に浮かんだ。


(……っ)


さらに強く地面を蹴った。
身体を限界まで痛めつければ。
息ができなくなるくらい走れば。
頭の中のぐちゃぐちゃな感情も、全部空っぽになると思ったのに。
走っても、走っても。
振り切れない。


(……私、いま何から逃げてるの)


わからないまま、ただ足だけが勝手に前へ出る。


長い坂道を上り切ったところで、足がもつれるようにして止まった。
荒い息を吐きながら、顔を上げると――
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