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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第2章 「はじまりの目と、最強の教師」


(呪術の理から外れてる……って、なに?)


そう言われるほど、変なことをしたんだろうか。
でも、それが“悪いこと”なのか、“危ないこと”なのか、
それとも“特別なこと”なのか。


(わたしって、一体……?)


足元がぐにゃりと歪んで見えた。
座っているはずなのに、まるで地面ごと傾いていくみたいで。



その時、ガチャリと扉が開いた。



「お疲れサマンサ~」



のんびりとした声。
黒い目隠しをつけた、背の高い男の人が入ってきた。


(……誰?)


目隠しに押し上げられた白髪が、ふわりと上に流れていた。
視線は隠れているのに、まっすぐ“自分だけ”を見てくるような錯覚がした。


(わ、背高い。……前、見えてるのかな)


なんか、夜蛾学長とは違う圧を感じる。
髪白いし、外人さん?


すると、夜蛾学長がため息をつきながら、



「遅いぞ、悟。8分遅刻だ。その責めるほどでもない遅刻するくせ直せと言っただろ。」

「責めるほどでもないなら、責めないでくださいよ。」



そんなやりとりを交わしながら、その人はふいに私の前へやってきた。
しゃがみ込んで、じっと顔を覗き込んでくる。


(ひぇっ、近いっ……)


息が止まりそうになる。
至近距離すぎて、目も合わせられない。
なのに、見えないはずの視線が刺さる。
まるで、心の奥に手を突っ込まれたみたいに。



「へぇ、君が噂のね。はは、ほんとだ。ウケるね」


(……どこが、ウケたの?)


思わずツッコミたくなる。


(え、わたし、なんか変な顔してた? 寝癖ついてた?)


なんなんだこの人。距離感が変。


その人はそのまま椅子に腰を下ろし、長い足をゆったりと組んだ。
片肘を背もたれにかけて、まるでこっちの様子を測るように言った。



「なんで、こども助けたの? 置いて逃げればよかったのに」


(……なんで、だろ)


改めて言われると、よくわからない。
咄嗟で、足が動かなかったってのもあるけど――
でも、それだけじゃなかった。


(……あのとき)


あの子が、こっちを見てた。
必死で、怖くて、泣きそうな顔で。
それが、なぜか自分と重なって見えた。



「……私だったら、見捨てられたら嫌だから」



声がかすかに震えた。
でも、それが今の自分の“本当”だった。
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