第21章 「可惜夜に眠る 前編**」
辿り着いたのは、さっき先生が優雅に寛いでいた、あの特等席のパラソルの下だ。
パラソルの下に着くと、執事さんが救急箱をすでに準備していた。
「悟様、救急箱になります」
「ん、ありがと。あとさ、あっちのみんなにも、冷たい水とタオル持ってってあげて」
「畏まりました」
執事さんが一礼を残して去っていく。
広いパラソルの下に、私と先生だけが残された。
先生は私をビーチチェアに座らせると、手際よく救急箱を開けた。
「、それ脱いで」
「えっ?」
「そのミノムシみたいなやつ。着たままだと処置できないでしょ」
先生の視線が、私のラッシュガードに向けられる。
そ、そうだった。
さすがに、これ脱がないと。
(み、水着……!?)
まさか、こんな形で披露することになるなんて。
「どうしたの?」
「い、いえ、何も……」
私は観念して、ラッシュガードのファスナーに手をかける。
傷に触れないように気をつけながら脱ぐと、胸元の白いフリルが見えた。
(うぅ……やっぱり、恥ずかしい……!)
野薔薇ちゃんが選んでくれた水着は、胸元にたっぷりとレースのフリルがあしらわれているビキニ。
フリルで私の小ぶりな胸を隠せているが、ショーツの腰回りは華奢な紐リボンのデザインだ。
可愛いけれど……
普段あまり出さない肌が晒される感覚に、どうしても身が縮こまる。
思わず腕で体を隠そうとするが、先生は何ごともない顔で私の二の腕をそっと掴んだ。
消毒液を含ませた綿球が、傷口に触れる。
「……っ」
「ちょっと染みるけど、我慢して」
先生は傷口を丁寧に拭き取りながら、口を開いた。
視線は私の腕に向けられたまま。
「……ねぇ。なんでさっき、あんなふうに突っ込んだの?」
(……なんで、って)
頭では説明できそうで、うまく言葉にならなかった。
私は少しだけ迷ってから、口を開いた。
「……野薔薇ちゃんが危なかったし。あのままじゃ怪我しそうだったから」
「でも、が怪我してるじゃん」
少しだけ、声の温度が下がった気がした。
「それは……そうなんですけど……」
言葉に詰まったけど、精一杯の笑顔を浮かべてみせた。