第21章 「可惜夜に眠る 前編**」
「、呪具使うんだって? ……使えるようにしてやるよ。でも覚悟しとけよ。手加減はしないからな」
「は、はいっ!」
背筋が勝手に伸びる。
(こわ……! いや、でも……頼もしい……!)
パンダ先輩がぽんぽんと私の背中を軽く叩いてきた。
「大丈夫大丈夫。真希は口は悪いけど、教えるのは丁寧だから」
隣の狗巻先輩も、コクンと頷く。
「すじこ」
「す、すじこ……?」
聞き返してしまうと、パンダ先輩が笑いながら説明してくれた。
「今のは“歓迎”の意味。“よろしく”ってこと」
「な、なるほど……!」
私も狗巻先輩に向かって頭を下げた。
「狗巻先輩、すじこですっ!」
言った瞬間、ぴたりと場が止まった。
……あれ? 変なこと言った?
「いや、お前はおにぎりの具で喋る必要ないだろ」
真希さんの鋭いツッコミに、パンダ先輩が腹を抱えて笑い出し、狗巻先輩も肩を震わせてる。
「やっぱって面白いよな〜!」と虎杖くんがにっこり笑い、「ちょっとアンタ、天然すぎ」と野薔薇ちゃんがため息まじりに笑う。
伏黒くんも顔を逸らしているが、笑っているのがわかる。
「そ、そんなに笑わないでくださいよ〜」
思わず両手で頬をおさえる。
耳まで熱くて、頭から湯気が出そうだった。
(も、もう……恥ずかしいぃ……っ!)
でも、こうしてみんなといると……
胸の奥にまだ残っている重たいものが、ほんの少しだけ和らいだ気がした。
合宿で、どんなことがあるんだろう。
やっていけるかな。
でも、頑張れたら、何かが変わるかもしれない。
そんなふうに思いかけた、そのときだった。