• テキストサイズ

【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第21章 「可惜夜に眠る 前編**」


「さむいから、歩きたくなーい」 

「しょうがないなぁ……ほら」

 

お父さんがくるりと背中を向けて、しゃがみ込む。
私は、その背中にぎゅっとしがみついた。

 

「えへへ、やったー」



お父さんの背中はあったかくて、ちょっとだけシャンプーの匂いがした。
今度はお母さんが呆れたように笑う。

 

「もー、をそんなに甘やかさないでよー」

「ごめんごめん。でも、はうちの可愛いお姫様だからなー」

「お姫様? じゃあ、お父さんがの王子様?」



私が聞くと、お母さんが吹き出した。

 

「ちょっと! お父さんはお母さんの王子様なのよ〜」

「えぇ〜〜」

 

私はぷくっとほっぺをふくらませる。

 

「じゃあ、の王子様は?」

「それはこれからね〜。きっと、出会ったときにの心が教えてくれるわよ」

「心が?」

「そうよ、“どきっ”ってなったり、“きゅん”ってなったり」

「どきっ? きゅん?」

「あはは。まだわかんないか〜。ま、の心のままに従えばいいのよ」



そう言って、お母さんが私の胸をつん、と指でついた。
言ってることはよくわかんないけど……なんだかちょっとだけ、わくわくする。



「王子様、いつ会えるかなぁ。あした?」



すると、お母さんが私の頭をぽんぽんって叩いた。

 

「ふふっ、明日かもね〜。……ひょっとしたら、今日かもよ?」

「え〜! ほんと!? じゃあ、早く会いたーい!」

 

私がうきうきしながら声を上げると、
お父さんが、わざとらしく大きなため息をついた。



「に王子様はまだ早いっ! お父さん、反対!!」

「ちょっとー、今からその調子でどうするのよ」



お母さんが呆れたように笑って言うと、お父さんがしょんぼりした声で言った。

 

「ずーっと、お父さんのお姫様でいてくれればいいのに……」

「やーだー、王子様ほしいもん!」

「うぅ……つらい……」

 

そんなやりとりをしながら、三人で階段を下りていく。
キッチンからは、焼きたてのパンのいい匂いがふわっと流れてきた。
/ 567ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp