第21章 「可惜夜に眠る 前編**」
「ー、起きなさーい。朝よー!」
お母さんの声が、階段の下から聞こえる。
けど、まくらに顔をぎゅってくっつけた。
まだねむい。
さむい。おふとん、あったかい……
「……おきてるよー……」
もごもご返事だけはしたけど、からだはおふとんの中。
あともうちょっとだけ……って思って、またくるまった。
また、ねちゃいそう……
「ー! どこが起きてるのよ!」
その声と同時に、部屋のドアが勢いよく開いた。
「ひゃっ……」
廊下の冷たい空気が部屋に一気に入ってくる。
お母さんがズンズン入ってきて、カーテンをシャッ!て開けた。
「うぅ……まぶしぃ……」
私はまくらで顔をかくしたけど、お母さんの手がふとんをつかむ。
「ほら、起きなさい! 朝ごはんできたわよ」
ふとんがばさっと剥ぎ取られた。
「さむい、さむいってばー!」
私はダンゴムシのように、くるっと丸まった。
「じゃあ、あったかくしてあげよっか?」
お母さんがニヤッとして、手がこちょこちょって伸びてくる。
「きゃはっ……や、やめ、くすぐったいっ!」
「ほらほら、起きなさーい!」
「やだぁ、くすぐったい〜! おなかいたい〜!」
ベッドの上でごろんごろん転がって、私は必死でにげる。
お母さんの指がわき腹をくすぐるたび、ぞわぞわして、笑いが止まらない。
でも、その手はぽかぽかしてる。
冬なのに、なんでこんなにあったかいんだろ。
おふとんの中よりも、ずっとあったかい。
「おねぼうさんは、くすぐりの刑でーす」
「むりっ、起きる、起きるからぁー!」
でもお母さんの顔は、すっごく楽しそう。
私も笑いながら、泣きそうな声になってた。
「朝から元気だなぁ」
今度はお父さんが部屋に入ってきた。
「、おはよう」
「おはよ、お父さん」
私はなんとか上半身を起こして、お父さんに手を振る。
「ほら、朝ごはん食べるぞー」
でも、またごろんと布団に戻った。