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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第20章 「君の心をさらったその日から**」



(……あの震災で、亡くなったんだよな)

(東北の地震と津波……)

 
思い出す。
以前エレベーターが地震で止まったとき、が青ざめたこと。
あのときは、ただ「怖いのかな」くらいにしか思ってなかったけど……
そりゃそうか。
あの年齢で、あんな経験してたら――



「……、君のご両――」

 

そう言いかけた瞬間だった。



「あ、先生。お風呂入りますか?」



の急な提案に、言いかけた言葉が自然と喉の奥で止まった。



「あー……うん。いいの?」

「もちろんです。先生の家に比べたら、狭いですけど。良かったら入ってください」

 

はそう言って、立ち上がろうとした。
けど、僕は思わず手を伸ばして、彼女の手首を掴んでいた。


(……なんだろ)


言いかけた言葉が流されたせいか。
が、ほんの少しだけ遠くなった気がして。
今はただ、この距離がほどけてしまわないようにって、それだけだった。

 

「一緒に入る?」

「なっ……!?」

 

ぴしっ、との背筋が伸びた。



「な、なに言ってるんですか! ここ、実家ですよ!? おばあちゃんだっているし――!」

 

耳まで真っ赤だ。
ほんと、一瞬で赤くなるな。おもしろ。
 
 

「えー? 熊本の温泉でも一緒に入ったし、いいでしょ」

「そそそそそ、それとこれとは違います!」



熊本のときも、最初はこんな感じだった。
あれこれ理由を並べて、必死に抵抗して。
それでも最後は、渋々僕のお願いを聞いてくれた。

 
部屋の露天風呂に二人で浸かって。
は恥ずかしそうに、ずっと湯船の隅で背中を向けたままだった。
ちらっとこっちを振り返った、あの視線。
恥ずかしさと、緊張と。
それから、ほんの少しだけ混ざっていた“期待”。
あの表情が、どうしようもなく愛しかった。
 


『せ、先生……あんまり、見ないで……』

 

そんなふうに言われたらさ。
男は余計に見たくなるって、どうして分からないんだろ。


後ろから抱き寄せたとき、
お互いの濡れた肌が触れて、体温が伝わって。
の身体は、火が灯ったみたいに熱くて。

 

『……ぁ……』



そんな声を聞いて、止まれるわけがなかった。
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