第20章 「君の心をさらったその日から**」
「ははっ、そんな謝んないでよ」
「それより、のおばあちゃん面白いよね」
がきょとんとした顔でこちらを見た。
「そ、そうですか? なんか、いろいろぶっ飛んでて。うちのおばあちゃん……」
「僕は好きだよ、ああいう人」
「……え?」
「話も面白いし、元気だし。あと、のこと、めちゃくちゃ大事にしてるのが伝わってくる」
が驚いたように、でもどこか嬉しそうにまばたきをした。
「……それにさ」
彼女の手に指を絡めながら、僕は続けた。
「の大事な家族でしょ?」
「う、うん……」
「だったらさ。僕にとっても、大事な人だよ」
は少し顔を赤くして、またいつものようにふにゃっと笑ってくれた。
「そんなふうに、言ってくれるなんて。あ、ありがとうございます」
「そりゃ言うでしょ。彼氏だもん」
僕はその手を、もう一度やさしく握り直した。
すると彼女は照れくさそうに視線をそらし、畳の縁を見つめる。
の手のぬくもりを感じながら、ぼんやりと部屋に視線を漂わせた。
この家、なんか落ち着くんだよな。
初めて来たって感じしないっていうか……
壁にはカレンダー。
テレビ台の上には、何枚か写真が飾ってあって。
男性とおばあちゃんの仲睦まじい写真。
きっと、のおじいちゃんだろう。
それから、とおばあちゃんの写真も数枚。
あれは、中学の入学式か。今より少し幼い顔。
セーラー服可愛いな。
あ、でも――
「お父さんとお母さんの写真は? ここにはないの?」
が少しだけ動きを止めた。
少し考えるように間を置いて、は答えた。
「……おじいちゃんの部屋に、仏壇があって……そこに写真が置いてあります」
「へぇ、そうなんだ。あとで、ちゃんと挨拶しないとね」
「え、あ……ありがとうございます」
は、それ以上続けなかった。
表情も、どこか少し曇っているように見えた。
(……ん?)
あんまり話したくない感じ?
そういえば、から両親の話を聞いたこと⋯⋯今までない気がする。