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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第19章 「死に咲く花」


「さてと」

 

五条がゆっくりと男に近づきながら、かけていたサングラスを外した。
蒼く光る六眼が露わになる。
その奥には、氷のような静けさと、刃物のような鋭さが同居していた。

 

「まずは、死体に咲く白い花について、知ってること全部吐けよ」

「はぁ!? 白い花!? 知るかよ……っ! 離せ!」

「時間がないので、さっさと話していただけますか?」

 

背後から、七海の低い声が落ちる。

 

「昨日は残業でしたので、今日は絶対に定時で上がりたいのです」

「っ、くそ……っ」



床に縫い付けられたままの男が、唇を噛んだ。



「お前らに話すことなんか、何にもねぇよ!」



吐き捨てるようにそう言った、次の瞬間だった。

 

バキィッ――!

 

乾いた音が、地下の静寂を切り裂いた。



「――ああっ!? いっっってえぇぇッッ!!!」

 

男が絶叫した。
床に押しつけられた右腕の手首が、不自然な方向に折れ曲がっていた。
骨が浮き出るように、皮膚の内側で悲鳴を上げている。



「次は、左手いこうか」

 

五条が指をわずかに動かすと、男の顔色がさっと変わった。 

 

「わ、わかった! わかったから……っ! 言う、言うから!!」

「最初からそう言えよ」

 

男の呼吸が荒くなる。
涙と汗が混じり、頬を伝って落ちた。



「白い花なんて知らない! 本当だってば……!」

 

五条の瞳がわずかに細められる。

 

「じゃあ、お前こんな地下で、何してんの?」

「俺は、ただ頼まれただけだ……!」

「ここに荷物が届いて、それを梱包して発送するだけの、バイトみたいなもんだ!」

 

五条がゆるく首を傾ける。



「へぇ。でも、こんなとこでするバイトが清廉潔白ってわけないよな?」

 

続けて、七海が鋭く問いかける。



「誰に頼まれて、何を、どこに送っていたんです?」

 

男は一瞬、逡巡の色を浮かべた。



「……っ、言えるかよ。言ったら、今度はそっちに殺される……」

 

七海は手を背に回し、鉈を抜き取る。
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