第17章 「花は蒼に濡れる**」
「……の身体、ちゃんと見たいから」
ゆっくりと先生の手が私の頬を撫でた。
その指先がそっと頬から髪へと滑り、耳の後ろをなぞる。
もう一方の手が再び、制服のシャツのボタンへと触れた。
「見せて?」
一応、確認のような声だった。
けれど、答えを待たない指がボタンを外していく。
(……あ……)
胸元に空気が触れるたび、肌がじんわり熱くなる。
そのたびに先生の視線がそこに落ちるのを感じて、呼吸が浅くなる。
「ん?」
突然、先生の声が落ちた。
「……、下着は?」
その言葉で、頭の中が真っ白になる。
「あ……あのっ……っ、これは、その……」
目が合うのが怖くて、思わず俯く。
でも、気づいたら口が勝手に動いていた。
「……せっかく、体……洗ったのに……つけるの、変かなって……」
そんな私を見つめたまま、先生はゆっくりと視線を下に動かす。
「もしかして、下も……はいてない?」
(――っ!?)
思わず、太ももをぎゅっと閉じてしまう。
(っ、間違えた!! 下着はつけるが正解だった!)
先生は目を見開いて固まっている。
「……それは――」
短い息が落ちる。
そこに浮かんだ色は驚きとも、戸惑いともつかない。
でも、すぐに唇の端がゆっくりと吊り上がって、いたずらな笑みが顔全体に広がっていく。
(あ、この顔……)
恥ずかしさで消え入りそうなのに、その笑みを見た瞬間、
体の奥のどこかがぞくっと震えてしまう。
先生が低く笑った。
「いや、さすがにこれは想定外……エロすぎ」
そう言って、先生の手がスカートの裾へと滑り込み、私の太ももの外側にそっと触れる。
「……っ」
その手がやさしく撫でるように上下して、肌の感覚が敏感になっていくのが自分でもわかる。
(だめ、触られるだけで……)
声にならない声が喉奥で揺れた。
そのまま指先が太ももの内側へ近づいて、びくっと震えが走る。
顔を上げると、先生と目が合った。
その視線の熱に目を逸らせないでいると、唇が力強く私の唇に重なった。