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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第16章 「心のままに、花が咲くとき」


先生がふっと目元を緩める。
そして、名残惜しそうに自分の唇をぺろりと舐めた。
まるで、さっきのキスをじっくりと確かめるように。

 

「……とのキスって――」



そう呟く声は、さっきよりも低く、甘くて。


「甘くて、クセになる」

 

その言葉が耳元に落ちるとともに、身体の奥がじわっと熱くなる。


恥ずかしさと嬉しさが、一気に込み上げてきて、
思わず、先生の制服をぎゅっと握った。


(そんなこと、言わないで……)

(今にも溶けちゃいそうだから)


息を整える間もなく、再び先生の顔が近づいてくる。

 

「…… もっと欲しい」

 

先生はそう言って、唇がまた触れた。


今度はさっきよりもゆっくりと、長く、深く。
呼吸も、思考もすべて奪われていく。


甘くて、苦しくて。
でも、どうしても離れたくなくて――


私はそっと目を閉じて、
その甘さに、ただ身を委ねた。














「…………」

 

伏黒は無言のまま、病室のドアを静かに閉めた。
そして、その場をゆっくりと離れようとしていた。

 
(……いや、見てない。俺は、何も……)


思考を停止させるように、彼は足早に廊下を歩き出す。
しかし、脳内が先ほどの情景をループし始める。

 
(が……五条先生に……キスして……)
 

(先生が……さらに……もう一回、深く……)

 
思考が勝手に再生を始める。止まらない。止めたい。

 
(マジでやめろ、俺の脳内)

 
拳を握りしめる。


(……あの人、俺がドア開けたの気づいてた)

(先生が俺の呪力に気づかないわけがない)
 

そして、あの蒼い眼と目が合った。
一瞬だけ。


(あれは……俺への牽制だ……)


どう考えてもあれは、見せつけだった。
自分が“選ばれた側”であることの、圧倒的な宣言。

 
(……独占欲、強すぎだろ)

(も大変だな……あんなの毎日、正面から食らってんのか)


一周まわって、ちょっと尊敬すら湧く。

 
はあ。
思わず、深く長いため息が漏れる。 

 
でも正直――


(……なんとなく気づいてはいた)

(先生、やたらと二人きりになりたがるし、任務帰りの空気とか、異様に甘いし)


鈍い虎杖でも不思議に思ってたくらいだ。
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