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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第16章 「心のままに、花が咲くとき」


諏訪烈はスマホを見下ろし、ふっと鼻で笑う。
 


「……本当に、あの男と似ていて」

 

小さく呟いたあと、吐き捨てるように言葉を続ける。

 

「――反吐が出る」



言い終えてから、しばし無言のままスマホを見つめる。
その目には冷えきった嫌悪だけが静かに滲んでいた。


そして諏訪烈はスマホを伏せ、の頬をもう一度そっと撫でる。
その時、の瞼がわずかに震えながら開く。
 


「……す……われ……つ」

 

かすれた声がの唇から漏れた。
焦点の合わない瞳が諏訪烈を見上げていた。


諏訪烈は一瞬だけ目を細め、そしてにこりと笑う。

 

「……大丈夫。僕が助けてあげるから」

 

子守唄のような声でそう囁くと、の瞼は再び閉じられていく。
諏訪烈はそっと顔を近づけ、静かに額に口づけた。
 


「悠蓮……君が咲かせる花は、いつだって――」



そのまま手を伸ばし、のまわりに咲いていた白い光の花に触れる。
淡く、繊細に揺れていた小さな花を、彼はひとつ摘み取った。



「……綺麗だ」
 


掌にのせたそれを、しばし静かに見つめる。





夜の帳が彼の姿を呑み込んでいく。
誰もいない港町に、ふたたび波の音が静かに響いた。
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