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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第16章 「心のままに、花が咲くとき」


「――おめでとう、」

 

それは聞いたことのある声だった。
けれど、どこか優しげで――
でも、ぞっとするほどに冷たい。

 
意識の底で、誰かが近づいてくる気配がした。
アスファルトを踏む足音がゆっくりと響く。

 

男は倒れ伏したの傍にしゃがみ込むと、その頬に触れた。

 

「すごい出血だ。ほんとに……よく、がんばったね」

 

指先がの血に濡れた脇腹へと伸びていく。
そのまま傷口にそっと触れ、指先についた鮮やかな血をじっと見つめた。

 
ぬるりとした感触が指に残る。
そして、満足そうに微笑む。

 

「ようやく“覚醒”してくれて、僕は嬉しいよ」

「でもね……まだ死んでもらっちゃ困るんだ」

 

耳元で囁く。
その声にほんの一瞬、の睫毛がかすかに震えた。

 

男――諏訪烈は、の傍に転がっていたスマートフォンを手に取ると、慣れた手つきでロックを解除した。


着信履歴を辿り、最も頻繁に連絡を取っている人物――
“五条悟”の名前に指を滑らせる。

 
コール音のあと、すぐに電話が繋がった。

 

『――? 今どこ?』

 

その声は、焦りを押し殺していた。
だが、緊張が滲んでいる。

 

「こんばんは。ご安心ください。は……無事ですよ」

『……誰だよ、お前』

 

声色が変わる。
冷えた鋭さが、電話越しにも伝わってくる。

 

「ふふ、そんなに警戒しないでください。初めまして……ですね。有名人と話すのは、少し緊張するなぁ」

『……何でのスマホから電話してんの? はどこにいる』

「いやぁ、前からあなたと話してみたかったんですよ」

『男とおしゃべりする趣味はないんだよ』

「それは残念。――僕はゆっくりお話ししたいところだけど、今日はこれで」

『おい!話は終わってな――』



ぷつり。
そこで通話が切れた。
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