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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第4章 「触れてはいけない花」


翌日。
教室の扉を開けると、虎杖が机に突っ伏したまま顔だけ上げた。



「あー、。今日、先生いないんだってさ」

「え……?」



意外な言葉に、は思わず立ち止まる。


隣でプリントを整えていた伏黒が補足するように言った。



「当たり前だろ。ああ見えて、特級呪術師だからな。本来は高専でフラフラしてていい存在じゃないんだよ」



淡々とした声。
けれど、にはその一言が重く響いた。


(……今日、いないんだ)


胸の奥が小さく沈む。
会えるかもしれないと、どこかで期待していた。
――その期待が音もなく崩れていく。



「どうした?」虎杖が首をかしげる。

「……ううん、なんでもないよ」



そう答えながら、は席に向かい、机にそっと鞄を置いた。
けれど視線は黒板でもなく、手元のノートでもなく――空席のままの教壇を見つめていた。


***


その夜。
シャワーを浴びたばかりのは、濡れた髪をタオルで押さえながら寮の廊下を歩いていた。


――たった一日。


五条の姿を一度も見なかった。


(……こんな日も、あるんだ)


伏黒が言った言葉が蘇る。

“ああ見えて、特級呪術師だからな。本来は高専でフラフラしてていい存在じゃないんだよ”


(だから、いなくてもおかしくないのに……)


そう自分に言い聞かせても、胸の奥が空っぽのままだった。


気がつくと、足が止まっていた。


――ここは。


目の前には、五条の執務室。
薄暗い廊下に、白いプレートがぼんやりと浮かび上がっている。


(……なんで、私……)


わからない。ただ、ここに来てしまった。
会えるわけじゃないとわかっているのに。


廊下の静寂が、やけに耳に痛い。
扉の向こうには、気配がなかった。
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