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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第3章 「眠りの底で、目覚める」


「……あなたは、誰なの?」



の声は震えていた。


女は微笑んだ。
そして、一歩踏み込み、頬に手を添えた。


『……おまえはすでに知っているはずだ』


吐息が唇をかすめる距離。
心臓が暴れ、喉が動かない。


『……あの男に触れられたとき――おまえの内側が熱を帯びただろう?』


呼吸が止まる。

女はそこで一拍、沈黙した。


『――嬉しかったか?』


その言葉が心臓を掴む。


『あの手の温度を、まだ覚えているはずだ。怖かったか? それとも――もっと欲しいか?』


は無意識に首を振った。否定したいのに、声が出ない。


『隠さなくていい。あの男の声に救われたのだろう? あの青い瞳に、縋りたくなったのだろう?』


指先が顎から首筋へと滑り落ち、動きを封じられる。


『おまえはまだ目覚めていない。けれど、その熱が育つほど――おまえは私とひとつになる』


女は耳元で囁く。


『あの男も、おまえの中の熱も、すべて呑み込め。それがおまえの“目覚め”だ』


その声が呪いのように甘く絡みつき、が叫ぶ前に、視界は闇に飲まれた。














「――っ!!」



は椅子から飛び起きた。


教室の窓の外は、もう夕闇に包まれている。


(……ここは……? 私、まだ……)


息が荒い。
耳の奥で血が脈打ち、胸が張り裂けそうなほど鳴っている。


(……夢?)


けれど、夢の女がまだ後ろにいる気がした。



「いや……いや……!」



がたん、と机を倒し、ふらつく足で後ずさる。
頭の中で女の声がまだこだまし、視界が揺れる。
体が勝手に逃げようとした――その瞬間。


背後から、強く抱きすくめられた。
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