第13章 「咲いて、散って、また咲いて**」
浴衣の帯はいつのまにか緩んでいて、
彼の手はそこからするりと入ってきた。
腰のくびれをなぞり、背中のラインを確かめるように撫でていく。
皮膚の上をゆっくりと移動する温もり。
唇が、わたしの喉元に落ちた。
ちゅ、と音を立てて肌に触れたとき、
全身がぴくっと反応した。
彼の唇は、喉から鎖骨へ。
鎖骨から、さらに胸元へ。
唇がなぞるだけで、その箇所すべてがじんじんと熱を帯びていく。
「ん……ぁ……」
思わず漏れた声に、自分の手で口を覆ってしまう。
顔から火が出そうだった。
だけど――
「……ダメ」
先生の低い声が、耳元に落ちる。
「声、ちゃんと聞かせて」
「……っ、でも……」
「がどう感じてるか全部知りたい」
囁く声に、背中がぞくりと震える。
口元にある手を、先生の指がそっと包み込んだ。
ゆっくりと指を絡め、布団へ導くように下ろされていく。
その流れのまま、もう片方の手が背中へと回り込んで――
(……ぁ)
細い金具が、そっと指先でなぞられる感触。
その意味に気づいた瞬間、金具がかすかな音を立てて外された。
支えを失った感覚が、ふわっと広がる。
今まで身体に密着していた布の感触が和らぎ、空気が入り込んだ。
肌が急に呼吸を始めたみたいで、そこだけ妙に敏感になる。
先生の手が、下着の隙間からそっと差し込まれ――
その指先が直接、胸元にふれてきた。
「……ふ、ぁ……っ」
小さく声が漏れた。
その温もりが、思っていたよりも――
優しくて、深くて。
包み込むように触れてきた手のひらが、輪郭をゆっくり確かめる。
「やわらか……」
思わず顔が熱くなる。
そんなこと、口にしないで……って思うのに、
何も言えなかった。
「っ……ふ……ん」
ゆっくりと円を描くように撫でられるたび、そこだけがじんわりと熱くなって、身体が勝手に反応してしまう。
(……知らない、こんな感覚)
初めて知る温度、初めて知る疼き。
彼の指が、胸の先端をかすめるように触れたとき――