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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第11章 「魔女はまだ、花の名を知らない」


「……っというか、その、いくらなんでも唐突すぎませんか……?」



すると、通話の向こう――
五条の声色が、ふっと変わった。
さっきまでの軽薄な調子が、ほんの一瞬で消える。



『……ちょっとね、調べたいことがあるんだ』



低く落ち着いた声。



『僕の家に関すること。――の“力”と、たぶん……関係してる』



一瞬、空気が変わった気がした。



「……つまり、今回は“遊び”じゃないと?」

『え? 僕が“遊び”だったことある?』

「“遊び”しかないかと……」

『あ?』


(……しまった)


思わず口を押さえたくなる。
五条の声色が、明らかにトーンを落としている。



「い、いえっ……! その、あの、失礼しました五条さん、つい口が……!」



慌てて訂正する声もむなしく、通話口からは沈黙が数秒――
その後、ため息混じりの声が落ちてくる。



『……まじビンタって言いたいところだけど。まあいいや、手配頼んだよ』



苦笑とため息を同時にこぼす。



「わかりました。では、手配しておきます。ただし――
今週末の任務については、後で補填策を出していただきますよ」

『はいはーい』



そのひと言を最後に、通話は唐突に切れた。


通話終了の表示を見つめたまま、伊地知はしばらく固まって――



「……はぁぁぁ……」



深く、深く、魂を絞り出すようなため息をつく。
思考力を奪われたまま、ペンを握っていた手も力なく机に置かれる。


ふと、頭の中にある事実が浮かんだ。


(え……じゃあ……)

(さんと五条さん、泊まりで京都に……?)


想像してはいけないが、脳内ではなぜか、
並んで歩く姿や浴衣、夜の縁側、あまつさえ――
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