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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第11章 「魔女はまだ、花の名を知らない」


***



「……京都!?」



思わず、声が裏返った。


聞き間違いじゃないかと、慌てて先生の顔を見る。
けれど彼は、いたって真面目な顔でにっこりと笑っていた。



「そ。京都にある僕の実家、行ってみようか?」



その言葉に、心臓が跳ね上がる。


(い、いま、“実家”って……!?)


先生の実家。
つまり――五条家。


頭の中で、見たこともない立派な和風屋敷とか、畳の間に正座してる自分とかが次々に浮かんでくる。



「え、え、ちょっと待ってください、なんで急にそんな話に……!?」



焦る私に、先生はおどけたように肩をすくめ――
でも次の言葉は、少しだけ真剣だった。



「……もしかしたら、悠蓮に関する記録が、うちのどこかに残ってるかもしれないんだよね」

「えっ……五条家に、ですか?」



思わず聞き返すと、先生は頷いた。



「前にが乗っ取られたとき、悠蓮が僕を見て言ったんだ。“あの男の血か”って」

「それってつまり――当時の五条家当主を知ってたってことになる」

「……二人は知り合いだった……」



私は小さく呟いたきり、言葉を失った。


(悠蓮が……五条家と……?)


そんな繋がり、考えたこともなかった。


思考が追いつかず、ただ先生の顔を見る。
すると、彼はふっと笑って――



「ね、気になるでしょ?」



そう言いながら、指先でわたしの額を軽く突いた。



「うちの実家、資料は山ほどあるしさ。
古文書に巻物に、書庫に蔵に……ま、探すのは骨が折れるけど――」



そう言いかけて、先生は私の目をまっすぐに見た。



「悠蓮が言っていた”送り出す”の意味。
その答えが見つかるかもしれない」



その言葉に、胸がぎゅっと音を立てる。


(もし、何かわかるんだったら……)


「……行きたいです、先生」


(怖い。でも――知りたい)


悠蓮のことも。
この力のことも。
そして、自分が“魔女”と呼ばれる理由も。



「ちゃんと、向き合いたいから……」



もう、知らないままではいられない。



「わたし……五条家に、行きたいです」
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