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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第11章 「魔女はまだ、花の名を知らない」


(……悠蓮、ね)


さっきが話していた“夢”。
白い花が降りてきて、光の輪になって、悠蓮が語ったという言葉。


無意識のうちに、指先に力がこもる。


(……僕、悠蓮にまで嫉妬してんのかよ)


自嘲するように、小さく息を吐く。
けれど、それはただの冗談では済ませられなかった。


彼女の“心”の中。
その一部に、“僕じゃない誰か”がいることが――
どうしようもなく、嫌だと思った。


(……僕、相当だな)


どこか苦笑しながら、視線を空に戻す。


そして、ふと思い出す。
以前――
悠蓮が、の身体を“乗っ取った”あのときのこと。



『……やはり。六眼の気配がした』

『“あの男”の血か。……時を越えても、気配は似ているな』



あの女は、そう言って僕を見た。
驚きも、恐れもなかった。
ただ、知っている者に再会したような――そんな目で。


(……悠蓮は、六眼を知ってた)


あのときの言葉が、頭の奥で引っかかっていた。



『“あの男”の血か』



――あの男。


誰のことを言っていた?
“六眼”を識り、“気配が似ている”とまで言った、その存在は――


(……当時の五条家当主のことか……?)


その可能性が頭をよぎった瞬間、
五条はゆっくりと笑みを浮かべた。
口角が自然と吊り上がっていく。



「……いいこと思いついちゃった」



そう呟いて、立ち上がる。
ポケットに手を突っ込み、スマホを取り出す。


画面を数回タップしながら、口元はずっとにやけたまま。



「やっほー、伊地知。今週末の僕の任務なんだけど――」



その背中は、どこか嬉しそうに揺れていた。
まるで、遠い記憶の扉を、ようやく開けられる鍵を見つけたかのように。
そして何より――
愛しい彼女の“隣”に、ずっと居続けるために。
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