第1章 平穏が終わった日
「おう!知っとるよ俺」
テッテレー!救世主が現れた!
角名くんからの招集がかかったらしい銀島くんという男子が紙パックのジュースを片手にやってきて。なぜか少し緊張気味な彼と自己紹介を手早く済まし、事情を説明すればうんうん、とストローをくわえたまま相槌をうち、そして冒頭の答え。
ちょっとお花畑が見えた。いい意味のお花畑。
ハ〜レルヤ!って曲が流れた気がする。
ようやくこの論争(?)も終止符を打つ時が来たようだ。
やだ厨二っぽい。
「確かに、あん時の北さんはなんやめっちゃ怖かったなぁ。よう覚えとるわ」
「主将さんってそんなに怖い人なの?そんな噂ばっかり聞くと切実に会いたくないんだけど」
「いや、根はええ人やねん!けどしっかりしすぎて逆に怖いっちゅうか」
「あ、そっち系の人なんだ」
やっと話の通じる人に出会えたような気がして涙が出そう。
これは握手を交わした方がいいかもしれない!
「銀島くんだっけ」
「おう」
「君とはいい友人になれそう。よろしくね」
「お、おー、ようわからんけど、よろしく!」
ジト目でこちらを見つめる用無しクンたちの目の前で、銀島くんと固く、熱い握手を交わした。
新たな友情にバンザイだ。
そして。
銀島くんが説明してくれた、男バレの主将さんが女バレのマネージャーである私を引き抜きたい理由。
先週の木曜のできごとを銀島くんはゆっくりと正確に、そのときの情景を思い出しながら語ってくれた──。