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【HQ】稲高女バレマネージャー争奪戦

第3章 からかいは適度が吉




犯人は二人か、それとも一人で二個食べたか…。
まあ、無くなってしまったものは仕方がない。ってこうやって許すからダメなんだろうね、仕返しに治くんの大きな弁当から唐揚げを奪った。犯人の一人は治くんだとわかったからだ、持っていた箸の先にミートボールのタレがついていたから。
どうだ、この名推理!

愕然とする治くんをドヤ顔で見つめながら唐揚げを咀嚼していると、ふと視界の端で人影が動いた。
目を向ければ、教室の扉のところに女の子が一人立っていた。見覚えのない子だから、同じクラスの子ではない。
思わず首を傾げれば、目が合う。でもそれはほんの一瞬で、私の隣にいた角名くんを見つけた瞬間に「す、角名くんっ」と名前を呼んでその目を輝かせた。
あっ、察し。


「角名くんの彼女?迎えにきたみたいだよ」
「は?違うけど」
「あれ?」
「知らないしあんな子」


察しハズレ。
じゃあ誰だろう。角名くんの名前を呼んだから彼女だと思ったんだけど、知り合いでもないとは。


「あ、あの、」
「ほら呼んでるよ、行ってあげたら?」
「……はー…」
「なに、何でため息?」
「アホか察しろや」
「え?」
「アレ、告白やろ」
「こッ」
「まさか、他のクラス居っても追っかけて来よるとは。さすがに思わんかったわ、侮れんなぁ」


眉をしかめる侑くんと、「ようやっと減ったと思た矢先にコレやもんな」と眠そうな顔で平然と言う治くん。
何で冷静でいられるんだろう。だって告白だよ?しかも結構かわいいじゃんあの子、角名くん好きそうなタイプなのに何で嫌がってんだろ、告白なんて男子なら舞い上がっちゃうくらい嬉しいもんなんじゃ…
アッ、あー!はいはい!慣れてらっしゃるのね!承知した、もう何も言わないよ私は。


「角名くん、あの、ちょっとええ、かな」
「なに?俺忙しいんだけど」
「いや、どこが…?」
「ちょっとだけ!…その、場所変えたいんやけど」
「見てわかんない?いまイチャイチャ中」
「えっ?」


素っ気ない態度で返事をする角名くん、まさかの隣に座る私の肩に手を置いてそこに頭を凭れさせてきた。
なにやってんの??


「誤解を招くような発言と行動はやめたまえ」
「ノリ悪いなぁ」


すぐさま頭を押し返す。
すんなりと離れてくれたけど、なぜか楽しそうな角名くんとは裏腹に女の子は顔が歪んでしまっていた。

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