第3章 からかいは適度が吉
…まさかね。
いや、さすがに考えすぎだ私。
でも念の為。
「ねえちょっと、私の友達に何もしてないよね?してないって言って」
「んー、買収って言葉知ってる?」
「はああ?何したの、ねぇ全部吐け」
「胃の中まだ何も入ってねぇしツラいだけだから嫌」
「もーっ!」
だから友達はサムズアップしたのか。買収されちゃったから何にもしてあげられない、と。
地団駄を踏みたいけど我慢して、机を一発叩いておいた。
「なんなの本当に、いつまで私を男バレに勧誘しに来るつもり?」
「北さんが諦めてくれるまで」
「もう!主将さんっ!」
「幸村さんこれ系の菓子すき?新発売やって、あげるわ」
「えっいいの?ありがとう銀島くん、一緒に食べよ」
「俺にも食わして」
「治くんハウス」
「ハウスどこやねん」
「結局自分も絆されてんじゃん(笑)」
「銀島くんの優しさに甘えてるだけだよ」
私も私で、思い切ってこの四人を避けて友達のところに行ってしまえばいいんだろうけど、巻き込むのはなんだか嫌で。結局これが日課となってしまった。
「主将さん直々に来ればいいのに。なんであんたたちに任せっきりなの?」
「時期見て行くとは言うとったけど」
「あんたたち四人でもすでに怖かったのに何それ。え、時期っていつ?あれ、怖い以上の感情って何だっけ」
「北さんは圧のレベルちゃうからなぁ」
「おっと、主将さんにチクってやろ〜」
「やめて!?」
ていうか今さらだけど、女バレの部長に私への接触禁止令出されたのに何でここにいるんだろう。
まあ、侑くんはあの時みたいにがっついて来なくはなったけど。
一回、部長に相談してみようかなぁ。
近頃の暑さにぴったりな酸味の強いミニトマトを食べ、目をつむって思考をリセットする。
目を開けたら四人はいませんでした、ってならないかな。目の前に友達がいるといいな。
って希望をもって目を開けたけどちゃんと四人いました。ついでに弁当のミートボールも減ってました。…待って三個あったはずなのに一個しかないんだけど!?
「ちょっと私のミートボール食べたの誰!」
「治じゃないよ」
「角名でもないなぁ」
「侑は俺の菓子食うとったよ」
「銀は窓の外見とったで」
「変な謎解き出題しないで?」
銀島くんも最近はこんな感じで悪ノリするし。
教室前に四人の顔写真付きで出禁の看板たてようかな。
